ハワイで抵当流れ物件を探す?

大幅に値を下げ投げ売りされる物件を探す積極的かつ貪欲な投資家であろうと、単に市場の動向に興味があるだけの人であろうと、いずれにせよ期待されていた抵当流れ物件の大波は幻となるかもしれません。

その6つの理由をご紹介します。

1) 誰も差し押さえは望んでいない

功利主義では「最大多数のための最大幸福」を掲げています。一般経済において差し押さえを避けた方が便益である事は明確です。

  • 銀行は差し押さえなどしたくありません。2009年の経済危機の際に得策ではないと学んだのです。連邦政府も差し押さえはしたくありません。
  • 政府も抵当物件の差し押さえ一時停止を発令しました。つまり、現在は銀行が差し押さえを認めることができません。

一方、銀行は債務者に対して何とか苦境を切り抜け差し押さえを避けるために柔軟な支払い計画を提示しています。

  • 返済繰延: 債務者は返済を数ヶ月間休止することができ、融資機関はその分をローンの最後に付け加えます。
  • 一時的返済猶予: 債務者は返済を数か月間休止することができますが、休止した分は後に返済に追いつくため二重返済や一括返済をしなければなりません。

このプログラムは債務者が住む家を失うことを防ぎ、住宅市場や経済を支えます。債務者は返済を休むことができますが、それも返済猶予期間が終わるまでです。

関連記事: 「ある不動産投資家の告白」をご覧ください。

差し押さえ一時停止期間が終わってしまったらどうなるのでしょうか? その時に人々の予想の真価が解明します。

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2) コロナ危機以前の不動産市場は堅調を維持していた

経済はフル回転の好景気でした。失業率は3%以下、住宅市場はピーク水準の査定がつくほど好調でした。

コロナ危機に入り失業率は急上昇、現在のアメリカの失業率は6.7%(2020年12月)でトレンドは下降しています。ハワイ州の失業率は未だに驚くほど高い10.1%(2020年12月)で、2020年5月の23.4%、2020年10月の14.2%からは下がってきています。

これは悲惨な数値です。多くの人が失業しました。皆が「なぜ住宅市場がそんなに好景気なのか」と尋ねます。

関連記事: 「2020年中間マーケット情報」をご覧ください。

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3) 金融政策

アメリカ連邦準備制度理事会は金融政策を定めました。新型コロナウイルス危機が始まり、連邦準備制度理事会は直ちにできる限りの金融緩和政策を打ち出しました。貨幣供給量を増やし、フェデラルファンド金利を0に引き下げました。この金融緩和政策により借り入れをしやすくし、景気を刺激する消費を促すためです。

2020年12月17日水曜日、連邦準備制度理事会会長ジェロームパウエル氏は、コロナ危機始まって以降議論になっていることを再確認しました。

「委員会は雇用の最大化と長期的な2%の物価上昇率を目指していく。物価上昇がこの長期的目標を持続的に下回るなか、委員会は長期的平均物価上昇率が2%となり長期的物価上昇の期待感がとどまるようしばらくの間おおむね2%以上の物価上昇率を目指す。委員会は金融緩和政策の成果が見られるまでその方向性を維持する。委員会はフェデラルファンド金利を0から¼%の範囲とすることを決議し、労働市場において雇用が最大化し、物価上昇率が2%まで上昇し、しばらくの間2%超の水準で安定したことを委員会が評価するまでフェデラルファンド金利の範囲を維持することが妥当であると判断する。」

2020年12月17日 ジェロームパウエル

さらに連邦準備制度理事会の理事のメンバーは2023年末までフェデラルファンド金利を0に近い水準とすることを計画しています。つまり、あと3年もあります。

これまでにないほど将来に透明性が出ています。連邦準備制度理事会は経済とその参加者に「我々がつている、放ったらかしにしたりしない、迅速で頑強な景気の完全回復のためにはどんなことでもする。それまでは、水道の蛇口は開けたままにしておく。」というメッセージを送っています。

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4) 財政政策

財政政策は議会と政府、つまり大統領と財務長官により定められます。トランプ大統領に代わりジョーバイデン、スティーブムニューシンに代わりジャネットイエレンが就任します。

ジャネットイエレンはなかなかのやり手です。連邦準備制度理事会の前会長である彼女は1990年代以来連邦準備制度理事会の理事としての経験を持つ資質の高い適任者です。アメリカ経済完全復活の立役者として相応しい人物でしょう。

2020年12月20日日曜日、議会は新型コロナウイルス救済策として新たに9,000億ドルの景気刺激対策予算にようやく合意しました。アメリカ国民にとって差し迫って必要な財政援助です。

アメリカ経済の立て直しにはさらなる救済策が打ち出される予定です。

  • 財政政策と金融政策は経済の低迷を最小限に抑え雇用を最大限に復活させるいわば両輪です。

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5) 住宅ローンの記録的低金利が住宅アフォーダビリティをけん引

住宅ローン金利はフェデラルファンド金利を反映するものではありません。一方で、住宅ローン金利は10年国債と並行移動する傾向があり、将来のインフレ期待を反映します。あと3年間はフェデラルファンド金利を0近くで維持するとする連邦準備制度理事会の決定は「経済は今すぐにはオーバーヒートしそうにない」ということを意味します。

高い失業率と景気の低迷において、インフレの可能性は低く、新型コロナウイルス以降は連邦準備制度理事会にとってデフレリスクを最小限に抑えることのほうがより大きな問題になっています。インフレの懸念が少ないため、住宅ローン金利も低く推移することが予想されます。

今週、30年固定金利住宅ローンの金利が史上最も低い2.66%を記録しました。

30年固定金利は3.74%(2019年12月26日現在)から信じられないほど低金利の2.66%(2020年12月26日現在)に下げられました。この金利を実際の数字に当てはめて試算してみると、金利によるインパクトの大きさが解りやすくなります。

  • 1,000,000ドルの物件を3.74%の30年固定金利で支払う場合 → 元利合算で4,625.48ドル/月
  • 1,000,000ドルの物件を2.66%の30年固定金利で支払う場合 → 元利合算で4,034.90ドル/月

月々の支払いは590.58ドルも安くなり、アフォーダビリティは12.77%も改善されます。つまり、コロナ危機で失業しなかった人にとっては全く同じ物件が1年前と比べて12.77%も買いやすくなったことになります。月々の返済は変わらず、より大きくより良いより高い住宅を購入できるのです。

この先30年の最低金利を確保し住環境をアップグレードする最高の機会があるとするならば、それは今でしょ!格段にお得です。

複数の住宅地で過去一年間に住宅価格が10%も上昇している理由を理解しましょう。現在コンドミニアム価格は低迷しています。

関連記事:「市場を分けた新型コロナウイルス:人気の一軒家、不人気のコンドミニアム」をご覧ください。

この現象が起こる流れは次のとおりです。

つまり、新型コロナウイルスの影響で住宅価格が上昇しています。

金利に関する考え方をもうひとつご紹介します。

住宅ローン金利がタダ!

いったいどうゆうことでしょうか?実際原価は下記のふたつの要因に影響を受けます。

  • 1. 住宅ローン金利控除: つまり多額の節税です!新たに支払った住宅ローンの金利が上限750,000ドルまで控除されます。多くの人は連邦税と州税を合算すると30%もの所得税を払っています。

住宅ローン金利控除を受けると、2.26%の住宅ローン金利が1.862%なります。 (2.66 – 30% = 1.862%) 

  • 2. インフレ: 現在の物価上昇率は2%を下回っています。先に紹介した連邦準備制度理事会の声明を振り返ってみます。「委員会は長期的平均物価上昇率が2%となり長期的物価上昇の期待感がとどまるようしばらくの間おおむね2%以上の物価上昇率を目指す。」とあります。

2%ということは住宅ローン金利2.26%の実質費用が税金の控除と物価上昇率を考慮すると-0.138%に下がるということです。(控除後の税率1.862% – 物価上昇率2.00% = 実質金利 -0.138%) 

そうなんです!借り入れの実質費用は-0.138%で0以下になります。タダより安いということです。

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6) 困窮する物件オーナーの選択肢

新型コロナウイルスにより失業やローン返済が滞るなど重大な財政難が起きています。現在は、差し押さえ一時停止措置、一時的返済猶予措置、返済繰延措置で窮地を凌いでいます。しかし、すぐに再就職できないなどで下記に挙げるような選択肢を検討せざるおえない場合もあるでしょう。

  1. 融資機関に返済猶予や返済繰延を延長できないか掛け合ってみましょう。支払いが困難であることを説明し、支払いの選択肢を協議しましょう。
  2. 自宅を売却して現金化し、今はダウンサイズすることを検討してみましょう。現在一時的に人気が落ちているホテルコンドを所有する場合は別ですが、それ以外はラッキーなことに今が売り時です。現在は高需要低供給、記録的な高値で売れています。経済回復の見通しと超低金利により、2021年も売却には絶好のチャンスです。
  3. あいにく物件にエクイティがない場合は融資機関に空売りの許可を取りましょう。

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今やらなくていつやる?

なかには住宅市場や経済はじきに崩壊すると言う人もいます。彼らの理由は下記の通りです。

1) 超インフレへの懸念

これは流入資金の増加によりインフレを誘発するという単純な理論に基づくもので、いずれ金利は手が出せないほどのレベルまで上がり、住宅価格を崩壊させることにつながるという説です。確かに、原理上は正しいかもしれませんが、テクノロジーやグローバリゼーションで生産効率が向上し反対トレンドが優勢となってデフレとなる可能性を見落としています。

2008年から2013年に実施された量的緩和政策QE1、QE2、QE3の際にも同様の超インフレ議論が起こりました。しかし実際には超インフレは起こらず、アメリカ経済はあの大不況を切り抜け継続的に物価上昇率2%弱で史上最長の安定回復を成し遂げました。連邦準備制度理事会は物価上昇率2%前後を目標とした政策を盛り込んでいます。つまり超インフレは無いということです。

2) 巨大な「隠れ在庫」問題

先の大不況の際にも同様の「隠れ在庫」問題が取り沙汰され、銀行が数百万件の住宅を差し押さえるだろうと言われました。大不況の間、差し押さえはあったものの、資金繰りのつかない物件の多くは銀行から空売りの許可を得て市場に吸収されて行きました。

今回、資金繰りがつかなくなったオーナーの多くは差し押さえを回避するでしょう。なぜなら、前述の理由のとおりそれが出来るからです。つまり、巨大な隠れ在庫もありません。

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何が起きるかわからない?

ある日突然空から惑星が降ってきて人類は滅びてしまうかもしれません。何が起こるかわからないのです。未来に何が起こるかは誰にも予想できません。専門家の未来予想は当てになりません。専門家とは我々も含めてです。

市場崩壊と急激なインフレに関する世界滅亡の日的な予言はよく知られています。ヒトの脳は待ち受ける危機を警戒し災難を避けるように作られています。これは私たちの先祖がサバンナを歩いていた頃から自然淘汰のなかで植え付けられた生き延びるために必要な能力です。ニュース番組で恐ろしい事件が報道されるのはそのためです。評価を得るための小細工なのです。

しかし、かつての先行き不透明な世界で有効だったサバイバルスキルは今日では不要な痕跡器官となってしまいました。不透明感への不安が目標を実現することや多くの可能性を阻害してしまいます。

明らかではないにしろ、今日の世界はこれまでのどの時代よりも不透明性が断然低いと私は言いたいのです。

今日の世界では予測を可能にする新たな技術革命が起きています。緩やかなインフレの世界で 、AI、ロボット工学、遺伝子工学、ナノテクノロジー、通信接続性が生産性を大幅に向上させます。トレンドは必然的に、より良く、より安く、より速い、が常勝の鍵となるでしょう。

新型コロナウイルスは私たちの物の見方を変えたかもしれません。しかし、未来は明るく人類は世界のすべての問題に解決策を見出す能力を持っています。私たちの前には無限の世界が広がっていて、まだその入り口に立ったばかりです。そう考えると冷静な楽観主義者になれる気がします。

ハワイの不動産: 商業用物件、ホテルコンドはしばらく軟調のままでしょう。ホノルルの居住用一軒家コンドミニアムの2021年は年間を通じて堅調の見込みです。

結論として、抵当流れ物件はハワイにはないということです。

2020年が苦難の年であったならば、この10年間の残り90%が素晴らしい快挙の年になるよう努力しましょう。何が起こるかわからないと心配するのはやめましょう。それよりも、どうしたら上手くいくかを考えましょう。目指す目標に向かって必要な手順を踏んでいきましょう。2021年が皆様にとって健康で繁栄の年になりますように。

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