Hawaii Living

ハワイ不動産 - 相続について


当記事は、日本とハワイの両方の税務関連に詳しい、税理士法人アーク&パートナーズ代表税理士の内藤克氏と弊社Hawaii Livingとのコラボレーションにより作成致しました。
ハワイ不動産の相続について、Q&A方式でわかりやすく纏めました。相続や税務関連でご質問がございましたら内藤税理士にお問い合わせ願います。



Question 1
ハワイの不動産を所有する親が亡くなりました。名義変更をするにはどのような手続きが必要ですか?

Answer 1
 ハワイでは日本とは異なり、相続が発生するとプロベートという裁判所を通じて行う相続手続きを経ないと名義変更ができません。プロベートでは、亡くなった方の遺産を一旦財団に入れた後、管財人により相続人の確定や遺言の有効性のチェック・債務の精算・遺産税の申告納税等が行われ、最終的に遺産の分配まで行います。この手続きは通常1~3年程度かかり、手続きが完了するまで遺産の管理・処分を自由に行うことができません。そのため通常は、トラスト(生前信託)やTODD(死因贈与)等、プロベート回避の対策を生前に手続きしている場合が多いので、現状の手続きがどこまで行われているのかの確認から始まります。いずれの手続きもハワイの弁護士に依頼して行うことになります


Question 2
 父は「自分に相続が発生したらハワイ不動産は長女である私に相続させる」と言ってくれてます。日本で遺言を書いてもらえばよいのでしょうか

Answer 2
日本で遺言に「ハワイ不動産は長女に相続させる」と明記されていたとしても、日本の遺言を英訳した上でハワイで検認を受ける必要がありますので十分な対策とは言えません。日本の遺言とハワイでのジョイントテナンシー(共有名義)やTODDなど現地の手続きが相違していた場合は現地の手続きが優先的されます。そのため、日本での遺言にハワイ不動産について言及しつつ、ハワイでもプロベート回避手続きを行っておくことをお勧め致します。


Question 3
ハワイ不動産を購入するときジョイントテナンシー(夫婦共有名義)を勧められましたが、日本で注意する点はありますか?

Answer 3
 例えば、夫婦でジョイントテナンシーでハワイ不動産を購入され取得資金の全額を夫が負担していた場合、妻は対価を支払うことなく不動産の2分の1相当の財産を得たことになり日本で贈与税が課されることになります。米国では夫婦間の贈与課税がないため問題ありませんが日本の居住者の場合はあくまで日本の税法が適用されるので注意が必要です。


Question 4
ハワイ不動産は相続対策として有効ですか?

Answer 4
 ハワイ不動産の評価は、国内不動産の評価とは異なり市場価額になります。そのため、国内不動産のように路線価や固定資産税評価など時価との評価差が生じないため相続税対策として有効とは言い難いです。ハワイ不動産は今や分散投資や実需として次世代に残す考えが主流です。しかし子供たちが必ずしもハワイ不動産を必要としているとは限らないので相続後の売却がしやすいようプロベート対策しておくことが必要です。


Question 5
ハワイ不動産を所有している親に相続が発生したら日本とハワイとで二重課税となるのですか?

Answer 5
 ハワイ不動産も日本の相続税の対象となります。米国での相続税の基礎控除は1170万ドル と多額のため、日本人が現地で相続税が課税されるケースは少ない(日米相続税条約)ですが、かりに米国で相続税を納付することになった場合は日本で相続税の外国税額控除の適用を受けることに二重課税を回避することになります。


Question 6
ハワイ不動産を生前贈与したいのですがどうすればよいですか?

Answer 6
 名義を変更することにより生前贈与することは可能ですが、日本で贈与税が課税されます。米国では贈与者(あげた側)に贈与税の納税義務があり、日本では受贈者(もらった側)に納税義務があることや、それぞれ基礎控除が異なることなど課税関係が複雑になるためハワイ不動産の生前贈与はお勧めできません。
この場合、日本の資産管理会社に移行しその株式を贈与することにより複数回に分けて移転する方法がよく用いられます。ケースによって対策を考える必要がございます。


Question 7
ハワイの銀行預金、夫婦名義になっているようですが、相続発生時に日本での課税はどうなりますか?

Answer 7
 日本では共有名義の預金は存在しないのでなじみがありませんが、ハワイではジョイントアカウント(夫婦名義)は一般的です。この場合相続発生時の拠出割合相当額(亡くなった方の分)に対して相続税が課税されます。また生前においては入金時の贈与税の課税はありませんが、預金を引き出す際に自分が拠出した分を超えて引出しを行った場合に贈与税が課税されることになります(ご主人が預金したが奥様が引き出し続けた場合など)。そのため、税務調査時に説明しやすいように自身の入出金記録メモしておく必要があります。


Question 8
親が所有しているハワイ不動産の詳細が知りたいのですが

Answer 8
 ハワイ不動産については、固定資産税の評価に関する一般的な情報がwebサイト上に公表されているため所在地がわかれば誰でも閲覧することが可能です。ここにはいついくらで購入したか、現在の固定資産税評価額はいくらか、滞納はないかなどの情報の確認ができます。または、購入時のDeed(権利証)により土地・建物の登記内容等を確認することもできますが日本の登記簿謄本のように権利関係をだれでも閲覧できるような制度がないため、不動産エージェントか現地の弁護士を通じて確認することになります。


Question 9
個人が所有しているハワイ不動産を日本の資産管理会社に移行する場合の手続きを教えてください。

Answer 9
 まずは日本の資産管理会社をハワイ州の商業局に登録を行い、連邦・ハワイ州の納税番号を取得する必要がございます。その後、売却価格(鑑定評価等を用いる)を決め、名義書き換えの手続きを行うことになります(弁護士)。売買による移転となるためハワイで売却額の22.25%の非居住者源泉の対象となります。そのためハワイでの還付申告や日本での外国税額控除など複数年にわたりハワイと日本での申告が必要となります。両国とも適正時価での売買でないと税務当局のチェックが入るため注意が必要です。


Question 10
ハワイの賃貸用コンドミニアムは相続税の小規模宅地の特例による評価減できますか?

Answer 10
 賃貸用不動産であればハワイであっても小規模宅地の評価減として50%の減額措置は適用可能です。ただし日本のように路線価や固定資産税評価額などの有利な金額ではなく、いわゆる時価の50%での評価になります。
不動産エージェントに連絡
ご質問・現地内覧・リモート内覧のご希望は以下のフォームよりお問い合わせ下さい。
税務に関するアドバイスについては、以下のコンタクトフォームより内藤克税理士にお問い合わせください。

税理士法人アーク&パートナーズ
代表税理士 内藤 克

おもに事業承継や相続案件を手掛け、わかりやすい解説には定評がある。
続きを読む