ハワイ不動産投資 - 減価償却による節税について


当記事「ハワイ不動産投資 - 減価償却による節税について」は、日本とハワイの両方の税務に詳しい、税理士法人アーク&パートナーズ代表税理士の内藤克氏と弊社Hawaii Livingとのコラボレーションにより作成致しました。
ハワイの不動産購入により、日本と同様に減価償却による節税が可能で、そのスキームをQ&A方式でわかりやすく纏めました。
節税など税務関連でご質問がございましたら、右側のコンタクトフォームより内藤税理士にお問い合わせ願います。


【個人・法人所有共通の減価償却関連Q&A】
Question A
日本に住み税金を納めている個人や法人が不動産を購入することにより、どのように節税することができるのか、また、なぜ日本ではなくハワイで不動産をご購入される個人や法人が多数いるのかについても教えて下さい。
Answer A
日本の居住者や日本法人の税務申告は、たとえ海外取引であっても「日本の税法のルールに基づき」計算することになっています。
注目されている中古資産の減価償却の計算では、残存年数(あと何年使えるか)を見積もって償却期間を計算します。これは「使い古した資産は新品と同じ耐用年数ではおかしい」という考え方に基づいていますが、ほとんどの場合、納税者が残存年数の見積もりをすることは困難のため、国税庁長官が発令した通達いわゆる「早期償却耐用年数」に基づき計算することになります。これによるとすでに耐用年数を過ぎた建物に関しては法定耐用年数の20%の年数(47年→9年)で計算してよいことになり節税効果が期待できるのです。
時が経過している割には快適で長持ちするハワイ不動産、特に建物比率が高いものについては短期間で減価償却できる人気物件となっております。

Questions B
木造と鉄筋コンクリートの物件はそれぞれ最短何年で減価償却しますか?
Answer B
木造建物(住宅用)の耐用年数は22年、コンクリート建物(住宅用)の耐用年数は47年、コンクリート建物(ホテル用)は39年と定められているため、これらの期間を過ぎている建物についてはそれぞれ4年、9年、7年で減価償却することになります。

Question C
不動産売却にかかる税率は売却する保有年数によって異なるかと思いますが、詳しく教えて下さい。また、個人と法人それぞれの税率も教えて下さい。
Answer C
個人(所得税)と法人(法人税)では考え方が全く異なります。
個人の場合は、所有期間が5年(譲渡日の属する年の1月1日現在で)超からどうかで長期譲渡か短期譲渡かの判定を行います。税率は長期譲渡であれば20.315%(所得税15.315%、住民税5%)、短期譲渡であれば39.63%(所得税30.63%、住民税9%)となります。
これらは分離課税となっていますので、給与所得などとの合算は行ないません。つまりどんなに給料が高い方でもキャピタルゲイン税の税率は上記の税率となるのです。所有期間の判定はあくまで譲渡日ではなく譲渡の属する1月1日現在で判定するため6年近く保有していないと長期譲渡に該当しないケースもありますので注意が必要です。
法人の場合は、分離課税は存在しないため、所有期間も関係ありません。譲渡益が生じてもその法人の営業利益などと合計して課税所得を計算することになります。税率は34.6%(資本金により軽減されます)となっています。

Question D
4年で減価償却する木造物件(住宅用)についてですが、節税の観点でどのタイミングで売却するのが望ましいでしょうか?4年たったらすぐ、或いは、税率が下がる保有して丸5年を過ぎた直後の1月1日以降でしょうか?
Answer D
4年経った状態ではまだ長期譲渡に該当しないため、キャピタルゲイン課税の税率は39.63%です。あと1年すれば税率が約半分になることを考えると、通常はもう一年所有するほうが有利となります。最後の1年は減価償却がゼロとなるため課税所得が発生してしまいますが家賃収入も1年分入ってきますからいわゆる逆ザヤになることはありません。当たり前のことですが税率は最高で55%ですので所得が生ずれば最低でも45%は手元に残ります。

Question E
9年で減価償却する物件についてですが、節税を考えると税率が下がる保有して丸5年を過ぎてすぐに売却するのと償却期間9年たってから売却するのは、どちらがお勧めでしょうか?
Answer E
この場合はどちらにしろ長期譲渡(5年を過ぎている)であるため、キャピタルゲイン課税については同じ税率となります。そのためご本人の所得の状況と物件価格の推移により判断することになります。日本の所得税は所得が増えれば税率も上がる超過累進課税となっており、所得が4,000万円を超えるとどこまでも55%の税率となります。つまりこのゾーンの方は不動産所得の赤字の55%が節税できるためこれをあと4年繰り返す効果は大きいと思います。(さらに4年分の家賃も手に入れることができる)
物件価格が急落を始めたり、ご本人の所得が激減する場合をのぞき、9年間保有するほうが有利となります。

Question F
もし建物比率が80%で土地の比率が20%の場合、木造でも鉄筋コンクリートでも80%丸々減価償却の対象になりますか?
Answer F
なります。

Question G
もし税法が将来的に何らかの形で変わった場合、それまでに購入した物件に関しては影響がないでしょうか?
Answer G
約20年前に減価償却税制の改正(建物の減価償却は定額法のみとなった)が行われたときは、それ以前に取得したものとそれ以降に取得したもので取り扱いを区分する改正でした。税制改正以前に取得したものについて償却方法を改正すると混乱を生じるため、法令の不遡及の原則からしても影響させないと考えられます。
ただし損益通算制度の改正や譲渡課税方法の変更については改正後の所得計算に影響してきますので注意が必要です。 

Question H
2018年の夏に施行された民泊新法に影響により、個人の所有者が物件を賃貸に出し、それまでは不動産所得として扱われていた賃貸収入が、一部の物件に関しては雑所得として扱われるようになってしまったと聞いております。どのような物件が雑所得として扱われるようになり、減価償却による節税ができなくなってしまったのでしょうか?
Answer H
民泊新法の施行に伴い、国税庁はFAQでその税務の扱いを明らかにしました。これによると民泊による収入は「宿泊者の安全確保、一定程度の宿泊サービスの提供」が宿泊施設の提供者に義務付けられており、利用者から受領する対価には、部屋の使用料のほか、家具等の賃貸料やクリーニング代、水道光熱費、室内清掃費、日用品、観光案内等の役務提供の対価などが含まれると考えられることから、「不動産所得」ではなく「雑所得」に該当するとしています。
今回の民泊新法における賃貸物件はあくまでも「自己が居住する住宅」に限定しているため、日本の居住者がハワイの物件を所有して賃貸している場合について直接言及しているわけではありませんが、ホテルコンドについても「宿泊サービスであり、不動産の貸付による所得でない」と税務当局から指導されているケースも見受けられます。
木造戸建て住宅については、日本で所有している方と同様、不動産所得として扱われることになります。

Question I
ハワイで購入した物件を日本とアメリカ両方で、個人所有であろうが法人所有であろうが、減価償却による節税効果を得ることができますか?簡潔に仕組みを教えて下さい。
Answer I
日本の減価償却税制についてはすでに述べたとおりですが、米国においては中古資産についても新品と同じ償却年数となりますので早期償却の効果は期待できません。
そのため取得後数年後からハワイでの申告時に納税が生ずると思われます。よくハワイで納税した金額は日本で還付を受けられるのかという質問を受けますが、日本の所得税の申告上「外国税額控除」を受けることができるのは外国(ここではハワイ)で生じた所得に対応する金額とされているため、ハワイ不動産で減価償却効果による赤字を生じさせているうちは控除できません(経費には計上できます)。
日本においては法人名義で取得しても「早期償却」は可能ですので節税効果を得ることはできます。この場合は所得税のように所得区分の問題は生じないため、「不動産の貸付」かどうかは関係なく、バケーションレンタルでも問題ありません。

Question J
普段は貸し出しているハワイの物件を、例えば年間30日間オーナーが利用した場合、所得区分や減価償却のスキームに影響がありますか?
Answer J
オーナーが利用した期間は事業供用されていないため、その期間の減価償却費は経費になりません。これは個人事業主が所有する自家用車を配達用50%自家用50%の割合で使用していた場合に50%しか経費として認められないのと同じで、このケースでは30日分の減価償却費つまり一か月分は必要経費不算入となります。

Question K
もし個人の所有者が物件の貸し出しを行わず、且つ、所有者の利用も全くなかった場合でも、減価償却による節税効果を受けることはできますか?
Answer K
募集をかけてもうまく賃貸人が決まらない場合などは家賃収入が入ってきませんが、募集も賃貸事業の一環であるため、減価償却費の計上は可能(たとえば引き渡しを受けてから賃貸開始までなど)となります。
しかし当初から貸し出しの意図はなく、キャピタルゲイン狙いの場合は自家用別荘と同じく減価償却は認められません。

Question L
物件を購入前にどのような出口戦略を考慮すべきか教えて下さい。
Answer L
購入時に、購入目的をハッキリさせておく必要があります。ハワイ不動産を購入する方の購入動機は
①減価償却節税が目的
②キャピタルゲイン目的
③運用利回りが目的
④分散投資
⑤別荘、
の5つに分かれます。また「賃貸利回りは不十分であったが値上がりした」や「値下がりしたが円安になったため手取りは増えた」など当初の目的とは別の効果を得られることもあります。出口戦略を立てるには購入目的をまずはっきりさせ、そして保有している間に「戦略通りに進んでいるのか?」、「軌道修正は必要ないのか?」を常に意識する必要があるということです。「購入したはいいけれどあとは人任せ」では十分な投資効果は得ることができません。


【個人所有に関する減価償却関連Q&A】
Question M
長期貸しの場合は、不動産所得として取り扱われますか?
長期貸しとは、何か月以上の貸し出しでしょうか?
Answer M
不動産所得か雑所得かの判断は、長期か短期かで区分するわけではありません。あくまで「宿泊サービス」なのか「単なる貸付」なのかで判断することになります。運営会社に長期賃貸(日本では通常2年間の賃貸が多い)し、その運営会社が宿泊サービスを行っている場合は、賃貸先の運営会社がどう運用しているかの問題であって、オーナーは不動産貸付として取り扱われることになります。

Question N
短期貸しした場合でも不動産所得として扱われるのでしょうか?
短期貸しの場合、ホテルによるホテルとしての貸し出しと管理会社によるバケレンとしての貸し出しがありますが、いずれの場合でも雑所得として取り扱われてしまいますか?
Answer N
Jと同じ回答になります

Question O
減価償却節税のためにハワイ不動産を購入しましたが、会社を退職して収入が減ってしまい不動産所得の赤字が他の所得(給与所得)を超えてしまい損益通算後でも赤字になってしまいました。この場合の赤字は抑年以降に繰り越すことはできますか?
Answer O
減価償却節税は通算する所得(給与など)が大きい場合に効果を発揮します。これは所得が大きいと税率も高いためです。そのため通算する所得が低くなると節税効果は薄れ、給与がゼロの場合は赤字を発生させるだけになります。このような場合は青色申告を選択すれば赤字を3年間繰り越すことができます。3年間に所得が発生すれば繰り越した損失をその年の所得から控除することになります。


【法人所有に関する減価償却関連Q&A】
Question P
法人の場合、短期貸し長期貸しの違いによる所得の区別は個人のようにありますか?
これらの違いにより、減価償却による節税のスキームに影響がありますか?
法人の場合も短期貸しと長期貸しの定義は個人と同じでしょうか?
Answer P
法人の場合、個人所得税のような所得区分の概念はありません。そのため不動産所得か雑所得か、賃貸か宿泊サービスか、長期貸しか短期貸しか、など悩む必要はありません。オーナー会社であれば、役員報酬を抑えて法人の利益対策として減価償却節税をすれば、所得税対策と同じ効果が得られます。





※   税務に関しては、必ず税理士にご確認下さい。
※ 投資にあたりましては、当Webサイトの情報に全面的に依拠されることなく、リスクのあることを認識し、ご自身の判断において行われるようお願いいたします。
※ 当記事で記載した内容は、2019年3月時点のもので、今後税制改革により変更される可能性があることをご理解願います。

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税理士法人アーク&パートナーズ
代表税理士 内藤 克

おもに事業承継や相続案件を手掛け、わかりやすい解説には定評がある。
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