ハワイ不動産売却の流れと費用

ハワイ不動産の売却プロセスと売却費用について当ブログ記事にてご説明致します。

【売却の流れ】

1. リスティングエージェントの選択

可能な限り高い金額で滞りない取引を実現させ、売却を成功裏に収めるには、経験豊富で該当物件がある地域や該当のコンドミニアムを熟知している信頼のおける不動産エージェントに物件のリスティングを依頼することをお勧めいたします。

注記:売主は通常1人の不動産エージェントのみを選びます。その背景としては、1人のエージェントに依頼すれば、MLSというシステムに該当物件情報と写真が登録され、そのMLSから情報を引っ張ってきている不動産関連ウェブサイト上で同様の写真と情報が公に共有されるため、複数のエージェントに依頼する必要がないためです。MLSに関しては、こちらの記事をご参照ください。

2. 物件の査定と提言

該当物件の現実的な市場価値を見定めるために、実際に物件を見せて頂いた上で、最近売却された似たような物件の売却情報や市場動向を踏まえて価格のアドバイスを致します。また、修繕やステージングなどをすることにより価値を上げられそうな場合は、的確なアドバイスも致します。
ご参考に、お客様の収益を最大限にできたコンドミニアム物件の事例を、こちらのリンク先の記事で御覧ください。

的確な売主希望価格(リスティング価格)を決定する上で影響を及ぼす要素は、どれくらい早く売却したいか、物件がどれだけ魅力的に見えるか、借用者がいないか、といった点です。リスティングエージェントは、売主の方にアドバイス致しますが、最終的にはご自身が納得する価格でご決断することをお勧めいたします。

3. リスティング契約書へのご署名

リスティング契約書”Exclusive Right-To-Sell Listing Agreement”(ホノルル不動産協会が提供する5ページに及ぶ契約書)にご署名し、売主であるお客様と弊社と契約を結びます。当契約書には、例えば、契約期間、契約をキャンセルできる条件、売主と買主のエージェントに支払うコミッションなど、いくつかの重要点と期限があります。契約内容を十分に理解した上でご署名頂きます。

4. MLSに物件情報登録

MLSに物件情報と写真を登録することによりオアフ島の全ての不動産エージェントが該当の物件情報を入手できるようになるだけではなく、一般の人々も弊社Hawaii Livingの当ウェブサイト含む不動産関連ウェブサイトにも掲載されるようになります。MLSに登録するだけで一気に多数のウェブサイトに掲載されるようになるため、売主の方は通常1人のエージェントとしか契約を結びません。

5. マーケティング

物件を売却する上で一番効果的であるMLSへの登録以外にも、該当の地域に精通した不動産エージェントに該当するお客様がいた場合は物件の内覧頂くよう促したりします。また、Hawaii Livingは、ハワイ不動産ウェブサイトの中でも1番との定評がありますが、弊社のサイト上でもお客様の物件を宣伝致します。

6. オープンハウスとショーイング

日曜日に一般公開用のオープンハウスを行いますが、一部のコンドミニアムではオープンハウスが禁止されていたり、テナントがいる場合はオープンハウスが難しかったりします。オープンハウスとは別に、買主のエージェントを通じて見学依頼があった場合は、ショーイング(内覧)を致します。オープンハウスやショーイングがどれくらいあったか、内覧者のコメント等、適宜売主の方に情報共有し、場合によっては価格調整など行います。

7. 買主からのオファー

買主からオファーが入ったら(14ページにわたる売買契約書の受領)、オファーの概要をご説明致します。売買契約書に関しては、こちらの弊社説明記事をご参照ください。契約内容に応じて、価格や条件などカウンターオファーを作成し、買主に提出します。

8. 売買成立&エスクロー開設

売買契約書の内容が合意に至り売買契約成立後、売買取引が開始しエスクローが開設されます。売買取引は中間的な機関であるエスクロー会社が中立的に取り持ちます。エスクロー会社は、買主の頭金を預かったり、弁護士による不動産譲渡権利書の作成、売却にまつわる費用の計算、譲渡に必要な全ての書類に確実に署名がされているかどうか等を担当します。

9. 各種書類、修理や清掃などの手配

以下は売主の義務項目です:
・物件に関して認識している事実を売主情報開示書に記載し、買主に提出
・コンドミニアムの管理組合が存在する場合は、コンドミニアム約款書類(経理報告、議事録など)を買主に提出
・シロアリ検査の手配とシロアリが見つかった場合は売り手の費用での適切な対応
買主によるホームインスペクション後に買主と合意した修繕事項があれば、修繕の手配
・ファイナルウォークスルーの前に清掃会社による清掃やカーペットシャンプーの手配

10. 公証手続き

登記前にエスクローの弁護士が作成した権利書(= Deed:売主から買主に所有権を譲渡するための公的文書)の公証手続きを行います。公証手続きは、ハワイのエスクロー会社や日本の公証役場またはアメリカ大使館で署名し、原本とその他の署名済みの書類とお持ちの鍵をお送り頂きます。エスクロー会社が不動産登記所にて登記を行いますが、公証済み書類やその他書類は、登記日の2営業日前までには必ずエスクローに届いている必要があります(登記予定の5日程前にハワイに全てが到着していることが望ましいです)。

11. 登記完了

登記日のハワイ時間午前8時以降にエスクローから、登記が無事完了した旨連絡があり、買主のエージェントに鍵の引渡しを行います。各種費用が差し引かれた後の売却金は、指定のアメリカ又は海外の口座に同日の午後に入金されます。


【売却にかかる費用】

・不動産エージェントに支払うコミッション(売買金額の5%~6%)

アメリカでは、売主が買主と売主双方のエージェントのコミッションを支払いますが登記日にエスクローを通じて支払われます。売主は、売主のエージェントとリスティング契約を交わしますが、契約書上で売主が支払う合計コミッション%の記載をします。エージェントのコミッションは、エスクローにより売却金を元に算出され、各エージェントに支払われます。多くの場合、売主と売主のエージェントは5%から6%のコミッションで合意します。2.5%か3%が買主のエージェントに、残りの2.5%か3%が買主のエージェントに支払われます。しかし、売主が支払うコミッションの%は決まっているわけではありません。つまり、理論的には売却額の0%もあり得ます。

・エスクロー費用等諸費用(売却額の約1%)

  • 譲渡税(所有権を譲渡する上でかかる税金)
  • エスクロー費用 – 売主と買主は50%ずつ折半
  • 不動産の所有権に対してかける権原保険 – 売主が60%、買主が残りの40%負担
  • 譲渡書類作成費用
  • 名義調査料
  • 白蟻調査費用
    など

※譲渡税とその他エスクロー関連費用ですが、売却額に比例しているわけではありません。例えば、譲渡税に関しては売却額が高いほど高くなりますが、エスクロー関連費用は売却額に対する割合が売却額が高いほど低くなります。殆どのケースにおいて売却額の約1%程の費用となりますが、ケースバイケースですので適宜ご確認願います。

・キャピタルゲイン税

HARPTA (ハワイ州源泉徴収税)と FIRPTA(連邦源泉徴収税)、2つのキャピタルゲイン税があります。過去に海外の投資家がハワイの不動産を購入し所有後売却し、キャピタルゲイン税を支払わず相当高い利益を得ていた時がありました。このようなキャピタルゲイン税収入の損失から州政府と連邦政府を守るため、HARPTA (ハワイ州不動産税法)と FIRPTA(外国人不動産投資税法)が制定されました。

FIRPTA(連邦源泉徴収税)連邦法は売り主がアメリカ合衆国外の居住者だった場合、売却額(利益ではない)の15%を売り主から源泉徴収することを規定しています。
但し、住居として買主が物件購入した場合、税率が以下の通り下がります:
・0%:売買額が$300,000以下の場合
・10%:売買額が$300,001から$1,000,000の場合


HARPTA(ハワイ州源泉徴収税)ハワイ州法は売り主がハワイ州以外の居住者だった場合、売却額(利益ではない)の7.25%を売り主から源泉徴収することを規定しています(2018/9/14以前の登記分は5%でした)。

売主は、登記関連書類としてエスクローから受領した書類の1部としてこれらキャピタルゲイン税のフォームに海外居住者である旨記入する必要があります。エスクロー会社は、売主が支払ったFIRPTAとHARPTAのキャピタルゲイン税を通常速やかに処理します。

※上記の通り、売主は販売価格の22.25%を売却時に納税金額として納めなければならないのですが、その額が本来納めるべきキャピタルゲイン(売却益)税額よりも高い場合は、 翌年の確定申告時に還付を受けることができるため、FIRPTAとHARPTAは税金預り金とも言えます。
もし購入した時と同じ、或いは、それ以下で売却される場合は、売却益が出ていないため、確定申告時に全額が返金されます。
或いは、もし買主の会計士が、本来のキャピタルゲイン税よりも多く算出されていると判断した場合は、エスクロー期間中に妥当なキャピタルゲイン税を超えた源泉徴収分を適切な書類を提出し申請することができます。
但し、HARPTAに関しては、エスクロー期間中にハワイの税務署に還付の申請をしても期間内での還付を断られることが多いようです。断られた場合は、翌年の確定申告時に申請します。逆にキャピタルロスが発生している場合は、エスクロー期間内でもハワイの税務署で書類の受理がされやすいようです。
また、FIRPTAに関してはハワイの税務署とは異なり、通常のエスクロー期間内に返答を得ることは困難です。その結果、殆どの売主は売却時にエスクローより算出されたFIRPTA全額を支払い、エスクロー後に早めの還付依頼を申請するか、翌年の確定申告時に申請します。