ハワイ不動産所有形態と相続対策

当記事「ハワイ不動産所有形態と相続対策」は、不動産法や相続関連、会社法、移⺠法に詳しい、弁護士事務所グッドシル・アンダーソン・クイン&スタイフル(Goodsill Anderson Quinn & Stifel)の沖 真平弁護⼠と弊社Hawaii Livingとのコラボレーションにより作成致しました。
ハワイの不動産所有形態や相続関連でご質問がございましたら、沖弁護⼠(soki@goodsill.com)にお問い合わせ願います。

 


【沖弁護士とのQ&A】
 

Question 1
ハワイの不動産の所有形態について教えて下さい。

 

Answer 1
不動産購入時に不動産の所有形態をエスクローに通知する必要があります。

 


 

 
Question 2
プロベートとは何でしょうか?

 

Answer 2
原則ハワイ州で不動産の相続が発生した場合、プロベート(検認)という裁判所を通じて行う相続手続が必要になります。ハワイは日本とは違い戸籍制度が存在しないため相続人の特定から始まり、遺言検認、相続資産管財人の選任、債務・債権の確認、資産分配と、非常に時間とコストがかかる手続きとなります。米国では一般的に相続プラニングの一環としてどのようにプロベートを避けるかという対策が検討されます。

 

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Question 3
所有者が死亡し、トラストや遺書がない場合、相続人はどのように決まりプロベートのプロセスはどのくらいの期間がかかるのでしょうか?

 

Answer 3
一般的にプロベートは相続人の一人が裁判所へ必要書類を提出しその手続きを開始します。申請書に相続人を指定しますが、遺書が存在しない場合、法廷相続人の特定が必要になります。特定可能な相続人には被相続人の他界及びプロベート手続きの通知を送達します。相続人の特定が困難な場合、新聞広告に被相続人の他界通知を記載し、相続財産に権利がある人物は名乗り出るように呼びかける事が行われることもあります。プロベートにかかる期間と費用は内容により大きく異なりますが、最短でも1年前後を要します。しかし、プロベートにもいくつか種類があるので状況に合わせて適切な手続きを行う必要があります。

 

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Question 4
もし結婚している所有者が亡くなりトラストや遺書がない場合、プロベート後、相続人は通常生存している配偶者でしょうか?
もし結婚していない場合や家族がいない場合はどうでしょうか?

 

Answer 4
ハワイ州法で特定される法定相続人は被相続人の家族構成により大きく異なります。例えば配偶者がいるか、配偶者以外との人物の間に子供がいるか、親や兄弟が健在かなどの状況が配慮されます。簡単に纏めると配偶者が存在しない場合、相続財産への権利は子供、親、兄弟、兄弟の子供、祖父母の順番になります。もし、相続人が一切存在しない場合はハワイ州が資産を没収する事もありえます。

 

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Question 5
相続人は相続権を放棄することができますか?その場合、どうなるか教えて下さい。

 

Answer 5
相続人は相続権を放棄する選択ができます。その場合、遺書などの書面に第2相続人の指定が無い場合、相続権は法定相続人のものとなります。

 

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Question 6
ハワイの物件の所有者は、相続人がプロベートをする必要がないようにするにはどうすれば良いでしょうか?

 

Answer 6
不動産の相続に関してプロベートを避けるには一般的に3つの方法が利用されます:
1) トラスト、2) Transfer on Death Deed (「TODD」)、3) 所有形態。
3) 所有形態については上記①記載の通り生存権ありの夫婦連帯不動産権や合有不動産権を利用する事によりプロベートを避けることが出来ます。しかし、税務上の問題なども発生してしまうため、所有形態での対策が不適切な場合もあるのでご注意ください。

 

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Question 7
トラストとは何でしょうか?

 

Answer 7
トラストとは設立者、受託者、受益者の3者で成り立っている修正可能な契約のようなものです。一般的に設立当初は設立者、受託者、受益者はすべて同じ人物(不動産の所有者)とし、トラストの文言に所有者他界後、その資産がどのように管理、分配されるべきかを記載しておきます。
不動産を「トラストに入れる」場合、不動産の名義をトラスト名義にする必要があります。不動産をトラスト名義に変更する場合は(個人から自己のトラストへの譲渡)、通常税務上の「贈与」は発生せず、相続時に信託に指定された相続人に不動産が分配されます。
一般的にトラストが一番有効とされるのは多くの資産や相続人が存在するなど、複雑な相続プランが必要とされる場合です。
トラストを利用する場合、日本での相続プランとの相関性を考慮し、矛盾や税務上の問題がないかどうかを確認しながら検討する必要があります。

 

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Question 8
Transfer on Death Deed (TODD)について教えて下さい。

 

Answer 8
TODDとは簡単に言うと特殊な不動産譲渡書類の一種で所有者が生前に相続人を指定し、事前にハワイ州で不動産登記を管理している行政(Bureau of Conveyance)に登記をしておきます。TODDは生前であればいつでも修正可能で、不動産名義は所有者が他界されるまで変更されないため、生前は所有者が自由に売却や賃貸をすることができます。
トラストと比べコストが抑えられることと作成やその後の処理が比較的わかりやすいことから相続人が明確であり、相続財産が不動産1、2軒の場合はTODDが有効なケースが多いです。

 

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Question 9
例えば夫が自身の資金でハワイに物件購入し、妻に相続して欲しいと考えている場合、夫婦連帯名義での購入ではなくTODDの方が望ましいのはなぜでしょうか?

 

Answer 9
配偶者の一人が不動産の購入資金をすべて提供する場合、相続対策として名義を夫婦連帯にしてしまうと日本税法上贈与が発生してしまうことがございます。従ってその場合は夫婦連帯名義ではなく、TODDなど生前贈与の発生しない対策方法を利用する事が好ましいことがあります。個人の状況により検討事項が異なるため、事前に弁護士や会計士・税理士とのご相談が重要になります。

 

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Question 10
トラストを設立するタイミング、流れと書面について教えて下さい。

 

Answer 10
トラストは何時でも設立可能です。不動産購入前に設立を完了させトラスト名義で不動産を直接購入することが出来ます。もし、既に不動産を購入済みであれば、トラストを設立し不動産の名義をトラスト名義に変更する事ができます。その場合、トラストを設立すると同時に個人名義からトラスト名義に変更をするための不動産譲渡書類の準備が必要になります。両書類米国公証手続が必要になります。

 

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Question 11
TODDを作成するタイミング、流れと書面について教えて下さい。

 

Answer 11
TODDは不動産購入後何時でも作成可能です。不動産購入後に不動産に対してTODDを登記する事で手続きを完了する事ができます。トラスト同様、署名には米国公証手続が必要になります。

 

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Question 12
トラストやTODDを作成する費用は結構かかりますか?

 

Answer 12
書面の内容や個人状況により大きく異なりますが、トラストに比べTODDのほうがコストは抑えられます。お客様がどの程度のサポートを要するかによっても費用が異なります。

 

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Question 13
もし物件を購入し、その物件に対しトラストやTODDが紐づいている場合、減価償却による節税に影響がありますか?

 

Answer 13
この点については日本の税法が準拠法となるため、日本の弁護士もしくは税理士にご相談が必要となりますが、ハワイ不動産をトラスト名義で所有している場合減価償却を利用出来ないというケースが発生する事もあるようです。TODDを利用される場合不動産は個人名義のままとなるため、同じ問題は発生する事はないということです。この点につきましては必ず日本の弁護士・税理士と事前にご相談ください。

 

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Question 14
もし物件の所有者が判断能力がなくなってしまった場合、トラストやTODDによりどのような対応になるのでしょうか?

 

Answer 14
所有者が事故などにより「判断能力が無い」と医師から診断されてしまった場合、不動産に関する判断(書面への署名などを含む)が一切出来なくなってしまいます。トラストを利用する場合、この事態に備えた成年後見人指定の文言を盛り込んでおくことができます。しかし、TODDの場合所有者が亡くなるまで譲渡は実行されずトラストほどの柔軟性がないため裁判所を通じての成年後見人選任手続が必要になってしまいます。この手続きは非常に時間とコストがかかってしまいます。

 

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Question 15
物件所有者が委任状を作成しておくメリットはあるでしょうか?また、委任状をすぐに有効にするのと所有者が判断能力がなくなってからに有効にするのとでは、どちらが良いでしょうか?

 

Answer 15
TODDの利用者が上"Answer 14"の対策として別途委任状を作成しておくことが出来ます。委任状を準備しておく事により、指定の後見人が所有者の代理人となり不動産を含む米国資産の管理、売却などを実行することが可能となります。委任状を準備する際、一つ重要な検討事項はその効力を(1)署名時もしくは(2)判断能力が無くなった際にするかの選択になります。
効力を「署名時」とした場合、医師から「判断能力がない」という診断書が不要になるため手続が簡素化されます。しかしそのリスクは署名をされた日から指定された後見人が米国資産を代理人として操作することができるため、委任状を不正に利用されてしまう可能性が懸念されます。実際に不正利用されてしまった場合、その対応が必要になります。
「判断能力がない」と選択した場合、医師からの診断書が必要になる事や「判断能力がない」という定義自体が曖昧な事もあり、実際委任状を利用できるまでに時間がかかってしまうことがあります。委任状は利用時に原本が必要とされることが多いため、安全な場所に保管しておくことにより不正な利用のリスクを軽減する事ができます。
 


注意:本Q&Aは一般情報であり法的アドバイスではないことをご了承願います。法律のアドバイスをお求めの方は個人的に弁護士とご相談ください。